第17回

                                         
                                          2002.11.25 掲載

第 1 7 回
                                                                           須 永  慶

【台詞の無い役】


 七、八、九月のこの時期は余り視聴率的にも抜きん出ているドラマは
それ程無いように見受けられます。

こういうドラマ不調の中にあって、2年半以上前に制作放送された「救命病棟24時」が、
装いも新たに再び登場して参りました。
ご覧になっていない方のためにこの番組について飽くまで私の私的な紹介となりますが

ごく簡単に説明いたしますと、

登場人物やそこに運び込まれてくる患者の人生を 通して、
社会の抱える様々な問題を提起する番組だと言えると思います。
病院のセットや何気なく置かれている治療のための様々な本物の装置によって醸し出される
見事なリアリティーが、きめの細かい番組作りと相まって、可成り面白い番組になっているし、
又視聴者による根強い支持も受けています。


ある日マネージャーから電話がありました。

「台詞はないんですが、出て欲しい番組があるんですが・・・。」
「ん?どういうこと・・・?」
話を聞いてみると・・・

ドラマのストーリーに絡んでくる重要な人物ではあるが、寝たきりの植物人間であること、
最後まで回復の見込みがなくそのまま死んでしまうということ、
そして番組は「救命病棟24時」であること・・・である。
2~3やり取りがあって私は引き受けることにしました。

キャストするにはそれなりの理由がありましたし、受けるにもそれなりの理由は有りました。
プロデューサー側としては台詞が無いつまり喋らなくても存在感があり、
回復しそうだという期待感が持てる人が良いということ。

受ける側の理由としては、先ず暇だったということと、断る簡単さの裏に、
これはある種のチャンスでは?
・・・と直感したからとしか言えません。
しかし当日スタジオ内の撮影現場に着いた時
「アッ、これは気が付かなかった!」
と一瞬受けたことを後悔いたしました。

その気が付かなかったこと・・・というのは、
鼻にチューブを挿し、酸素マスクを付けなければならないことです。
それも可成り大きめのヤツを顔のまん真ん中に着け なければならないことだったんです。
台詞が無ければ後はどれだけカメラに写るかということが俳優としては大切なことで、
又たとえ写っても顔が、表情が見えなければ今回余り出た意味はありません。
目の前にある大きな酸素マスクを着けたらどうなるのか。

「・・・・・!」

しかしもう後戻りは出来ません。
どんなことになっても受けた以上きちんと全力を出して役に対していかなければなりません。
当然のことですよね。

しかし、思いも掛けない良い事も時としてあるものです。

十話だけかと思っていたら十一話にも出てくることになりました。
しかも十一話を演出される田島大輔氏が「寝てばかりでは可哀想」
といって娘(国分佐智子さん)と楽しそうに話しているところを写真に撮って、
それをドラマの中で効果的に使って下さるという話を人伝に聞きました。
これから(多分十月十一日)の放送ですので、その辺をしっかり見てみたいと思います。
思わぬ所・思わぬ時に人の助けって有るものですね。

もう一つ。

実は劇中で痙攣を起こす場面があったんです。
寝たきりのため首が堅く固まっている状態で、つまり首を肩に固定した状態で、
激しく身体全体を震わせなければいけなかったんですが、
これがとてもきつく、やっと何とかやり終えることが出来たという状況でした。
皆さんご存じのようにこの私は長い間パソコンばかりをいじってばかりいて
運動をしなかったために、
体力が落ちていたのでしょう。
おまけに翌日以降、首が痛くてどうしようもありませんでした。

俳優たるもの、適度な運動は欠かさないことですね!

さてこれから極々軽くマラソンにでも出掛けるとするか!