第 1 回
                                            須 永  慶


「 プ ロ ロ ー グ 」


 梅雨が明けたのかどうなのかはっきりしない七月の或る晴れた暑い日、

遅いお昼御飯を食べていたら「ほうむたうん」の小杉さんと編集長の炭村さん

(初対面の時、あまりお若いのでイヤーツ正直驚きました!)

が見えられて「花のある生活」というコラムに、

日常感じたことや出来事について

何か書いて欲しいと頼みにいらっしゃいました。



 
その時私は

『え? と、とんでもない! 私は一介の俳優・・・

脚本家の書いた台詞をしゃべったり

役の表現で泣いたり笑ったりは出来るが、

字を書くのはスケジュール帳ぐらいなもの。

ましてやお他人さんの目に触れるタウン誌のコラムに、

それも定期的に連載の形で書くなんてとんでもないこと!』と–、

又『ここでお断りするのが自分としては負担にもならず分相応だな・・・』

とも思ったんですがどういうわけか口から出た言葉は

『良いですよ・・・』

だって・・・。




 あ ー ア! 





お二人がわざわざ我が家迄来られたのは、

まあ、それなりの理由が有ってのことだろうと思いましたし、

何が何でも断る理由もそれ程無いのでどこまで出来るか、

兎に角あまり深刻に考えずにやってみることにしました。



思えばあまり深く考えないで重要な決定をしてしまう.

こういう性格が、職業俳優への道を選ばせ可能にしたのかも知れません。





中学の頃にはもう既に何となく俳優になりたいと思っていましたが、

具体的に何をどうすれば成れるのかについては甚だ心もとない状況でした。



今と違って芸能雑誌や専門誌があるわけでもなく正確で豊富な情報を得るのは、

特に中学生にとっては不可能に近いそんな社会状況でした。

でも現在は相模原に居を構えて何とかプロの俳優としてやっていけています。

これはひとえに私のもつ性格の成果ではないかと思うんです。

才能で俳優になった

というよりも性格が大きな要素だったのでは・・・と。




 パット決めて後は猪突猛進!




一歩間違えれば引き返せるどころか奈落の底に真っ逆さま!

「まっしぐら」というのがこの場合、

間違えさえしなければ勢いが出て大変よろしい!

という訳です。



 さーてそれでは、



買ったばかりのパソコンと長らく埃にまみれたワープロを使って

しばらく「華のある生活」を送るとするか。