第4回
これは2001(平成13)年に
やはり年賀状として出したものです。
現代の荒涼とした時代と比較して、
信じられないくらいのほんわかした人間関係がありました。
その事を知って欲しく、
ある種の希望的観測をにじませながら書いた物です。
昔々今から50年以上も昔のこと、
多摩川がとても綺麗だった頃のお話です。
夏のある日、
大人用の重い自転車を三角乗りをして約40分の砂利道を
お兄ちゃんと二人乗りで仲良く釣りに出掛けました。
しかしこの日は生憎さっぱり釣れませんでした。
が、少し離れた何処かのおじさんは業師で、
見事にキラキラ光る魚を釣り上げました。
僕たちは「見せて、見せて!!」と叫び、
おじさんは僕たちに見せようと手元をゆるめた途端、
魚は川へ・・・。
暫くしておじさんは又釣り上げました。
勿論僕たちは「見せて、見せて!!」と叫び
おじさんも見せようとしましたが、
魚は又も手から逃れて川へ・・・。
三人とも暫く息を詰めていましたが
おじさんはキラキラ光る魚を又々上手に釣り上げました。
勿論「見せて、見せて!!」があり、
おじさんも今度は慎重に手のひらを少しずつ開きましたが、
信じられないことに魚は三度川の中へ・・・。
三人同時に
「 ア ! ! 」 。
そして
「 ・ ・ ・ 」 。
しかしおじさんは決して怒りませんでした。
次の日僕は国分寺駅の改札で
切符を切っている魚釣りのおじさんを見つけました。
おじさんは一生懸命切符を切っていましたが
切符を持っている人の列は長くなる一方でした。
でも、おじさんはとてもゆったり見えました。
良い時代だった・・ということなんでしょうか・・・・。
メール、書き込みをお待ちしています。(←これは、作成当時のコメントそのままなんです。)