第 25 回      須 永  慶
《 夏 風 邪 》

実は僕は、滅多にひかないんですが何年かに一度ぐらいの割合で「夏風邪」をひいてしまうんです。
ひくのは良いんですが、僕の場合、時として「咳」が出てしまうんですね。
ですから正式には夏「風邪+咳」と書くのが正しい・・・かも。
それも結構激しく、多分傍で聞いている人が
「ん?・・・こいつ随分咳込むな・・・」
と僕の方に迷惑顔を向ける位の感じで、咳をしてしまうんです。 

今年の夏、その「風邪+咳」をひいてしまったんですが、話を一度昔に戻させて下さい。
今はもうタバコは吸っていませんが、昔は吸っていました、
それも可成り。
二十年以上前にさかのぼりますが、一度もの凄い「風邪+咳」をひいてしまったことがあるんです。
丁度新聞記者の役で、主役の人物に、
事件に関する可成りの質問を矢継ぎ早にしなければならないシーンを控えている状態での
「風邪+咳」ひきでした。
4~5日前から「まさか直らない、なんて事はないだろうな・・・」と楽観しながら、
それでも取り敢えず医者へ行ったり、早寝をしたり・・・
タバコも多少控えめにしたりして、本番に備えていました。

女房も「咳」に効くからと言って、いそいそと『大根と蜂蜜』でエキスを作ってくれたり、
兎に角大変心配をしてくれたものです。
が、
本番当日も「咳」は止まらなかったんです。
朝からコンコンと出ていました。
家で一応台詞を言ってみるんですが、どうしても最後まで続かないんです。
相手の台詞の所で、早々と咳込んでしまう状態でした。

さて、とうとうスタジオ入り。

ドライ、カメリ、ランスルー・・・と進んでいくんですが、
矢張り僕の「咳」が響き渡っていました。
どうしても止まらない!
どんなに止めようとしても、その分だけ、余計永く強く出てしまう有様でした。
で、本番。
「もうどうともなれ!」という気持ちと、
「何とかしないと・・・」という何処か必死で命がけ・・・
という気持ちが混ざり合った感じになっていました。
カウントが入って本番に突入・・・
すると・・・
実は途中余りハッキリとは覚えていないんですが、
何と咳一つしないで、無事にそのシーンは収録出来たんです。

ここで冒頭の、『今年の夏、その「風邪+咳」をひいてしまった』ことに戻ります。

「あれ・・・?風邪をひいたのかな・・・?」というのが七月の初め頃でした。
今回は月曜ミステリー劇場『陰の季節4』の撮りが八月初めに控えていたんです。
役は前回と同じ県警・本部長の青山元幸。
結構事件に対してキビキビと命令を下したり、全体的な捜査方針を決めなければなりません。
そうなんです。自分の台詞だけではなく、当然相手の台詞の間も「咳」は絶対禁物です!
前回、二十数年前は女房も大変心配をしてくれました。
手作りの咳止めエキスを作ってくれたりして、色々いたわってくれたんですが、
今年の場合、
どういう訳か全くそういうことはありませんでした。
何故だろう・・・?・・・理由は分かりません。

「・・・な・・ぜ・・だ・・・?」

あっ・・・これはクイズではありませんよ。
僕は、本番までの期間が永かったので矢張り「その内直るだろう・・・」と思っていたのですが、
何と本番5~6日前になっても全然治まらなかったんですよ。
却ってひどくなったように思いましたね。

でも今回は一人で直さなければなりません。

慌てて病院へ行ったり、自分で『大根と蜂蜜』のエキスを作ったり・・・
でも直らなかったんです。
本番の日も矢張り前回同様、朝からコンコンと「咳」が出ていたんです。
でも前回と大きく違うところは、今回はロケーションで「スタジオではない」こと、
通して撮るのではなく「カット撮り」になることでした。
結論から言ってしまうと、この二つの条件に救われて、今回も何とか無事にやり通せることが出来ました。

ホントに『何とか無事に・・・』という言葉がピッタリです。
俳優は、「如何に日常身体を鍛えて、健康を維持していなければいけないか」
という見本のような話になってしまいましたね。
それと、今回はありませんでしたが、
こういう場合に限らず「家族や女房殿の支え」も多少必要かな・・・
とも思います。

でもどうして二十年前と違ってしまったのか・・・?

「う~ん・・・??」
ではここでもう一度家族に聞こえるように、
少し大きめで、苦しそうな「咳」をしてみるか・・・。

私「ゴホンッ」

女房、テレビを見ながら「ハハハ・・・・」

私「・・・」

その後、咳の原因は気管支炎ということが分かりました。
風邪はとっくに治っているんですが、咳が少し残る・・・
こと時迅速に手当てしていれば、治まりますね。

もう一つは、普段から、吸引など、効果的な予防措置をしていること
これにつきます。

そのお陰で、ここ10数年は以前のようなことは無くなりました。

昨年と今年(2021年)は特にコロナでマスク着用で過ごしていたので、
風邪も引きませんでしたね